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それは幻想か。
 

自動車メディアサイトのAUTOCAR JAPANには「社会人1年目、ポルシェを買う。」という連載があります。

その名の通り、社会人1年目の筆者が中古のポルシェ996を購入しポルシェ沼にハマっていくさまを赤裸々に書いたエッセイなのだけれど、深く共感する部分が多い。

自分が憧れているもの、惚れ込んでいるものに必死で背伸びを試み、ありとあらゆる(合法的な)手を考えて考え尽くし、すでに所有している人を妬んでみたり、妥協するよう自分を説得してみたり、でもやっぱり欲しいものが欲しいと立ち戻り。
そしていざ手に入ってしまうとその魔物性に畏怖と興奮の混ぜものを感じ、様々なトラブルが起こり、それでも少しずつ経験として消化していく。






Porsche_997_Turbo_-_Flickr_-_Alexandre_Prévot

引用:wikipedia



僕には憧れている数字が二つあります。

997と595。

997は言わずとしれたポルシェの911シリーズ6代目。
5代目で不評だったヘッドランプの形状を元の丸目に戻し、外見の回帰を果たした一台。

いやまあ別に991だって996だって好きなのですが、車というものを意識し始めた頃に街中で見かけた997は、そりゃあもう抜きん出て格好良かったものです。




そして、595。
当然、LOOK 595です。



或る人曰く、究極のロードバイク。

ただし、11年前のね。


そう、11年前の自転車。
11年前という数字が何を意味するかというと、僕がGIANT Escape R3を買い、コンポやらドロップハンドルやらをじゃんじゃん交換してロードバイクもどきを作り上げていた、僕にとっての自転車元年。

その11年前に、雑誌で、店頭で、ネットでLOOKの旗艦として燦然と輝いていたのは、595だったわけでございます。
当時高校生だった自分には手の届かない夢であり、妬ましい存在で。

中古のアンカーやらSPECIALIZEDやらに乗りつつも、常に横目で気にしてしまうのはLOOK。

結局その後ちょっとしためぐり合わせで585 Ultraを買い、スパルタンなLOOKの世界に酔いしれるわけですが…


そこからCANYONにのり、COLNAGOに乗り、いろんな自転車をつまみ食いならぬつまみ乗りし、そして今、改めてLOOKが気になる。






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ひょんなことから9000系のコンポ一式が手に入ることになったこともあり、585を組み直そうと思っていました。
ところがちょっとした補修部品が足りなかったのでネットの海でLOOKを検索していたら…
出会ってしまった。595。

しかも、カラーは大好きだったオリジンカーボン(カーボン柄)。
ダウンチューブに595の文字が入るのは発売から2年目のものまで。
多少の傷はあるけれど、その姿は憧れたその日のまま。

その瞬間に585を組み上げようと思っていたことなど頭からすっ飛んでしまいました。
(585には非常に申し訳ない)




2018年、このカーボン全盛期時代から振り返ってみると、595は非常にユニークな立ち位置にいます。

過去からの繋がりで眺めれば、ガッツリ硬い585で過去と決別するかと思われたLOOKがしっかりしなるフレームへと原点回帰、もしくは進化したもの。そしてLOOK最初の9番フレーム。

未来からの繋がりで眺めれば、それはLOOK最後のラグドカーボン。モノコックに道を譲り、潰えていった夢の残滓。


自転車というものがまだモデルネームではなく創り手の名前で呼ばれていた時代と

自転車は一つとなり、空気を切り裂き前へ進むために形態を多様に変化させる時代と

その間に過ぎた狂乱の数十年の、結実のような存在。


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今乗らずして、いつ乗るか。


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997に乗るのは何百年先になるかわからないけれど、595にはどんどん乗ります。
それはそれとして、585もそろそろ起こしてあげなきゃ。
ああ、楽しい。