UNADJUSTEDNONRAW_thumb_3d14


サドルを変えてみました。
 

ずいぶんと久しぶりの更新になってしまいましたが…
満足しているC60にちょっとだけ手を入れたくなり、気になっていたサドルを買いました。
発売してそこそこ経っているサドルですが、あまりネットに情報が無いなぁ…と思ったのでちょっと書いてみます。
乗り込んだわけでもないので、インプレというようなものではなく、単なる感想です。



sponsored link






サドルを変えた理由






もともとはSelle SMPのFormaを長年つかっていました。
Selle SMP Formaを5年使ってまとめ


今でもFormaは愛しているといっても過言ではない程大好きなサドルなんですが、以下2つの理由でちょっと変えてみたいな、と思い始めていました。



1. 超お気楽サイクリスト化でペダリングが変わった

Selle SMPを代表するカーブ型サドルは、腰をがっちりと固定し、ある程度低めのケイデンスでぐいぐいトルクをかけていく乗り方に適しています。
特にSMPはカーブが強烈なので、長時間乗れる場所は通常の着座位置と、下に曲がった鼻先の二点になります。
これは何を意味しているかというと「斜度の変化に対して荷重を細かくコントロールできない(2箇所しかない)」ということです。
言い換えると「トルク変動を重心変更ではなく筋力で対応する」ということ。

なので、多少の斜度変化は標準着座位置で処理し、激坂は鼻先かダンシングで対応する、というのが基本的な使い方になります。


これ、ある程度乗ってて脚や関節が対応できれば問題ないんですが、超お気楽サイクリストには結構きつい。
ちょっとした坂でも座る位置を変えて、なるべく体重をペダルに真っ直ぐかけて楽したい今日このごろ。




2. いろんな機材が前乗り前提になってる

最近流行りじゃないですか、前乗り。

流行りというか、プロレースがどんどん高速化・効率化しているからだと思うんですが、時代は前乗りです。多分。
自転車に乗るのに前も後ろも無いと思うんですが、トレンドの揺り返しですね。
その結果何が起きるかというと、一般消費者が買う製品まで「前乗り前提」になってくるわけです。
前乗りトリクルダウンですよ。

例をあげれば、シューズが顕著ですね。
クリート穴がどんどんかかと寄りに、ソールがフラット気味になってきました。
昔からクリート位置が後ろ目が好きだったので、個人的には大歓迎です。 

あとはジオメトリも変わってきてますよね。
ヘッドチューブが短くなり、チェーンステーが長くなり。
 

脚がヘタレたからか、前乗り向き製品を使っているからかどうかはわかりませんが、パイオニアのペダリングモニターで確認しても最近どんどん荷重のかけ方が変わってきています。
昔は0時付近からなるべく早く回し始めるペダリングを理想としていましたが、今はそれが90度回転し、3時から5時までをスムーズに荷重するペダリングに。
そのグラフを見て、「これだったらフラットなサドルでも乗れるんじゃね?」って思ったのでした。
 



セライタリア SP-01とはなんぞや




IMG_8803
引用:bikerumor

セライタリアといえば、1897年からサドルを作っているウルトラ老舗です。
そのセライタリアが2015年のユーロバイクで展示したコンセプトモデルがこれ。

超イカしてません?
BMCのコンセプトバイクについてそうなフューチャー感。
最初に見たときに、これほどほしいと思ったサドルはなかなか無いです。


IMG_8805
引用:bikerumor
 
横から見ると、セライタリアとは思えないくぼみっぷり。
こりゃセライタリアの名作SLRとSelle SMPのミックスじゃないか!と思い、ぜひとも市販してほしいと思ったのです。


 IMG_8808
引用:bikerumor

コの字型に繋がるレール〜サドルトップ。
快適性云々より、まずかっこいい。
コンコルドみたいですね。

セライタリアは「サドル下のエアフローを整流化するエアロサドル」などとわけのわからないことを言っていたのですが、まあそれはそれとして。

このときは流石にコンセプトモデルで終わるだろうと諦めていたのですが…














UNADJUSTEDNONRAW_thumb_3d0c


出しやがりました。




 
UNADJUSTEDNONRAW_thumb_3d0d
 

SP-01 TEKNO Superflow。
Special Performanceの頭文字でSPだそうです。

セライタリアらしく、素材替えで4種類のバリエーション展開がされています。
トップモデルは今回買ったSP-01 TEKNO Superflow
カーボンにパッド貼っただけ。




残りの3つはカーボン30%配合の樹脂ベースで、レール素材を変えたモデル。
カーボンレール・チタンレール・Ti316レール。

それぞれS(130mm幅)とL(145mm幅)の2サイズ展開です。


いや、どのモデル買おうか迷ったんです。
別に軽量サドル興味無いし、idmatch(セライタリアのサドル選択用測定)を受けるのも面倒くさかったし。

「迷ったらハイエンド」が信条なんですが、たけーんですよこいつ。
メーカー希望価格5.4万円て。税別ですよしかも。
おかしいな去年は4万ちょいだった気がするんだけど。値上げしたのかな。

…と思って他のサドル見てみたら、セライタリアのハイエンドって今どのモデルも5万前後するのね…

「まあ、だめだったらヤフオク行きだ!」と自分を騙しながらAmazonでポチりました。
とりあえず自分の坐骨幅数値(115mmくらい)と経験から、Sサイズの130mmは細すぎるとわかっていたのでLサイズを選択。 



SP-01を見てみよう


 


UNADJUSTEDNONRAW_thumb_3d0e
 

ようやく本題にたどり着きました。


SLRに似た超フラット系サドルかと勝手に思っていたんですが、横から見ると微妙にウェーブしています。
鼻先が少し下がり気味。 SMPをほぼ平坦に均したようなシェイプですね。

 UNADJUSTEDNONRAW_thumb_3d0a

裏から見ると片っ端からカーボンです。
コンセプトモデルと違い、レール部分がコの字の面でベースと接着されているのがわかりますね。

 UNADJUSTEDNONRAW_thumb_3d09

先端側もベースと面接触です。
なるべくベースに柔軟性が出るよう、可能な限り前で接着しているとか。
ちなみに体重制限90kgです。

UNADJUSTEDNONRAW_thumb_3d08

ふるーいSLR キットカーボニオと比較すると、幅の違い以上に雰囲気が違うことがわかります。
座点自体がSP-01の方が前にあるように見えますね。前乗りを前提にしているからかな?

座面側は、フルカーボンサドルの上にパッドを貼り付けたような形になっています。
TEKNO以外のSP-01は全面表皮張りなので、見た目上わかりやすい部分ですね。

マイクロファイバーの表皮で、パンチング加工部分とエナメルっぽい部分が左右非対称に配置されているのが特徴的です。
実際に座ってみると表面の滑り方が微妙に違うので、敏感な人は気になるかもしれません。 
パッドは意外に多く、押すとゲルっぽい感じで少し凹みます。
 
 
ZtH9GxjdSsuuSOuZRUT+7w_thumb_3d17
 
少しわかりにくいですが、SP-01の上にSelle SMP Formaを裏返して乗せています。
穴の大きさはほぼ同じですね。予想以上です。 

W1oUl6G9Rh2C59IdVhsqNA_thumb_3d0f

ちなみに重量の実測は…
カタログ重量は130g(Lサイズ)なので、誤差11%くらい。
まあ、イタリア製なので。



UNADJUSTEDNONRAW_thumb_3d13

ちなみにFormaはこんな感じ(サドル位置記録用のテープ含む)
ここから見れば、だいぶ軽くなりますね。 








使ってみて



ZVNLuhlISUKHhzlRRWsURg_thumb_3d26

バイクにつけるとこんな感じです。
サドル自体の高さがFormaより高かったので、3mmだけサドルを下げました。

結構長いサドルに見えるので調べてみたら、286mmとのこと。
Formaが273mm、SLRが275mm、フィジーク Arioneが300mm、Antaresが275mmとのことなので、標準よりはちょっと長め、くらいのサドルみたいですね。



UNADJUSTEDNONRAW_thumb_3d23

独特の形状が故に普段遣いにはとっても気になる「サドルバッグ問題」ですが、ベルクロタイプのサドルバッグなら大丈夫そうです。
常用のレザインのものは普通に使えました。
ただし、オルトリーブのような「アダプタをレールに取り付けるタイプ」は基本的に使えないと考えた方が良さそうです。



 
あまりに暑いのでまだ2桁kmしか乗ってませんが、ちょい乗りの範囲内ではSelle SMP Formaより快適です。 驚き。

まず、Superflowのおかげで会陰部に圧力を感じることが全くなく、痺れる気配は全くありません。
その上で幅広のサドルが坐骨をしっかりと支えているのと、サドル自体が微妙にたわんでくれているおかげで荷重がうまく分散され、ピンポイントでどこかが痛むようなこともなし。

かなり幅広のノーズなので、先端の方に座っても快適です。細かい前乗りしやすい…感動。


ただし、Selle SMPと違って前部分のせり上がりがないので、腹筋でしっかり上半身を支えてあげる必要があります。
前乗りは当然やりやすくなりましたが、長距離を走るときは少し疲れやすいかも?
慣れてしまえば問題ないと思いますし、それよりも前後に細かに動ける方がよっぽどメリットありです。


edited


左右の構造全体が撓むこともあると思うんですが、乗っていてわかりやすいのはサドルのエッジ側の動きです。
コの字の上面だけが上下に撓むように動くので、ペダリングの上下動だけでなく、身体の個人差や、前傾姿勢の変動による坐骨幅の変動にある程度柔軟に対応できるサドルになっている…気がします。
この撓みはレールとエッジ側を手で挟んでみるだけで確認できるので、相当柔らかく作ってそうです。



2007-Selle-Italia-Thoork-un
引用:sicklines.com

セライタリアは10年ほど前にもThoorkという「サドル面がシーソーのようにペダリングに沿って動く」サドルを作っていたので、ペダリングでの骨盤の動きについてくるサドルを一つの理想としているのかもしれません。
フィジークのウィングフレックスも近い思想でしょうか。




今の所、とても良いサドルです。
とりあえず快適に走れそうなので、しっかり乗り込んでみようと思います。
もし長く感想がかけそうな感じがあったら、改めてインプレ記事を書こうかな。