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中華カーボンホイールってどうなの。
"中華カーボン"と言うものがあります。
中国で(どうにかして)生産されるOEM品、ノーブランド品、もしかしたら偽造品。
時には胡散臭く、時にはやたらに興味を惹かれるこのジャンル。
日本のメカニコさんは部品単位で輸入し、検品後注文に応じて組み上げ販売するという親切なスタイルで評判です。
2015 12/16 修正 : コメントでご指摘を頂きました。基本的には中国での組み立てで、日本で組まれるのは部品持ち込みの場合のみです。検品、調整は日本で行われています(一部オプション)。
 

僕個人はもし何かあったら命に関わるホイールに中華品を入れる気にはなれないのですが、僕の周りには何人もメカニコホイールの持ち主がいるので色々とちょい乗りしています。
50mmのクリンチャーにも二種類乗りましたし、38mmと50mmのチューブラーにも乗りました。 
勿論それぞれリムの型番は違うのですが。

※以下、完全に一個人の感想です。



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(非オーナーである)僕のインプレ



微妙。




代表として取り上げるのはNSL50WDC Dハブ(セラミック)。
クリンチャーモデル。

BORAと交換して荒川を行ったり来たり。
ペダルを踏み込んで最初に感じるのはリムの適度な重さ。
460g(+リムテープ)という重量通りの漕ぎ出しで、良くも悪くもカーボン感は無し。
追い風で走ってる分にはエアロ感はゼロ。



真っ直ぐ走って感じるのは縦剛性の高さ。
剛性が高い、というとなかなか素敵な響きだがはっきり言って乗り心地が悪い。
ガンガンと縦に感じる突き上げ。これレーゼロだっけ? 
このフィールは多分リムハイトの高さとスポークの短さが原因かなと推測しながらゴロゴロ。



さてちょっと踏んでみようかと思って立ち上がった瞬間に



ハンドルがぐにゅっ



と横に逃げる感覚。

何だこりゃと思ってハンドル振ってみたりちょっとしたダッシュをかけてみると、
唖然とするほど横剛性が低い。
ちょっとガチャ踏みでもがいてみるとシューにリムがタッチするほどに。
体重54kgの乗り手がもがいてヨレるホイールを良いホイールと呼ぶのはとても難しい。

スポークが何本か折れてるのかと思うほどのヨレだったので思わず止まってからスポークを弄ってみるが、特に問題は無し。
テンションもそれほど低いわけではない。


原因として考えられるのはハブ。
ハブのフランジ幅が目で見て分かるほど狭いんですよね。
リムを頂点としてハブを底辺とし、スポークで三角形を描くとすれば、フランジ幅は三角形の底辺の長さになるわけですから、狭ければ横方向への踏ん張りが効かなくなるのは何となくイメージ出来ます。
この横剛性の低さは、ちょっと想定の範囲外。



折り返し地点にたどり着いてブレーキをかけると、まるでブレーキシューが無くなってしまったのかと思うほど制動せず、焦る。
止まらない止まらない。ブレーキシュー自体はカンパのカーボン用なので、これはリムが原因のはず。
ダウンヒルだったら死を覚悟するだろうなと思うほど止まらない。
Uターンでフロントがヨれ、また横剛性の不足に気づく。 



そのまま向かい風に入ります。
流石に多少はエアロ効果が感じられるか?と思ったのですが特に感覚は良くならず…
むしろ明らかに斜めの風でハンドルをとられる度合いが高まったのが印象的。
これは比較対象のBORAのワイドリムがより横風に強いだけかもしれないけども。



まとめましょう。

良い点は
縦剛性の高さ、クリンチャーの50mmにしては軽いリム、ハブの回転の良さ、そしてルックス

悪い点は
横剛性のどうしようもない低さ、ブレーキの効かなさ


僕がこのホイールにプライスをつけるとすれば、5万円です。
何故か。
個人的な意見ですが、横剛性の低いホイールは論外です。
速く走るためではなく、安全に走るためにです。
ダウンヒルで横剛性が必要最低限より低いとハンドルがヨレによって予期せぬ動きをして危険です。
ブレーキが効かないならなおさらです。
なんの心配もせず、命を預けられる足回りとして、どっしりと支えてくれる
そんなホイールこそが良いホイールだと、僕は思います。
特に、それほど乗り慣れていない人には余計にそうなのではないでしょうか?
ある程度値段が低いこのホイールであれば、購入者がロードに乗り慣れた人ばかりではないでしょうし。


僕は二本目に買うホイールとして、誰にでもZONDAを勧めます。
それは、ZONDAがその5万円という値段で出来る範囲でとてもバランスの良い作りの方向性を持っているからです。
以前10万円以上のアルミホイールの記事でも書きましたが、アルミホイールで全ての要素を平均以上にしようと思えば軽く10万円程度はかかってしまうものなのです(販売価格として)。 

では、限られた5万円という値段で何を求めるか、どんな製品を作るか。
ZONDAは、軽さ以外を求めているホイールです。
リム重量は460gです。より低価格のWH-6800がリム重量440gですから、決して軽いリムでないことは明らかです。
しかし、リムがそこそこ重いことはその分頑丈で、またペダリングがそれほど綺麗でない人にも十分扱える、というメリットの裏返しでもあります。 
そしてハブはレコードグレードの高品質ハブを導入し、完組みならではのスポーク配置から出来る横剛性と縦剛性の確保、メンテナンス性の高さを提供しています。

ZONDAは軽さという難しい課題を追い求めず、頑丈で良く回り、何処にでも安心して走りに行けるホイールとしてカンパニョーロが産みだしたものなのです。


このカーボンクリンチャーはどうでしょうか。
どこに資源を配分したのでしょうか。
当然ながら、それはリムです。

リム重量はZONDAと同程度です。
横剛性は不足していますが、真っ直ぐ走る分には問題ありません。
そして、見た目が格好良い。
でも体重のある人が乗ったらヨレるかもしれません。
そして、ブレーキがあんまり効きません。

なるほど、"誰が見ても50mmのカーボンディープである"という所にステータス全振りしているホイール、というのが正しいような気がしてきました。
オールラウンドに使うのは難しいですが、限られた用途になら良さそうです。

例えば、トライアスリートでひたすらTTバイクで直線区間を走る人。
例えば、週末にサイクリングロードでゆるゆると走り、休憩の度にディープリムを履いた相棒を眺めてニンマリする人。
僕がこのホイールに乗ってイメージしたのはこういう乗り手です。 
そういった、ある程度限られたユーザーに対しては十分購入に値するホイールだと僕は思うのです。
そして、そのホイールとしての価値は、多分5万円くらいだろうと思います。
8万出すとすればユーラスを買ったほうが色々と幸せになれる気がしたので。




オーナーズインプレ




以下の文は今回ホイールを借りたオーナーから寄稿してもらいました。
ここまでに書いた僕のインプレは彼の寄稿を読まずに書いたのですが、かなり印象が似通っていたようで興味深いです。


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■なんというモデル?

NSL50WDC  Dハブ(セラミックベアリング仕様)

 

■いつ買ったか?

20153月下旬

 

■納期は?

送金してから約三週間

メカニコからの発送連絡から約一週間

 

■比較対象は?

WH-6800

BORA ONE 50

Dura-Ace C24(自分のバイクに履かせて乗ったわけではない)

 

■第一印象は?

50mmのディープリムというだけあってそれだけでもっと早く走れるのではないかと感じました。カーボンディープということもあり、タイヤとホイールの見た目の一体感も増してよりしまったバイクになりました。
また、以前使用していたWh-6800よりも圧倒的に軽くなっていたので同じギアでも一踏み一踏みが軽く、いつもより楽に加速できているように感じました。

 

■各性能は?

・平地

50mmハイトのディープリムというだけあって30km/hでの巡航は以前使っていたwh-6800よりも断然楽です。しかし、加速の時にダンシングをすると少しふらつく感じがしました。
私自身がまだまだ実力不足ということもありますが、横剛性が低いためバイクを傾けた際にふらつくのではないかと思います。

 

・上り

激坂区間や終盤になりつかれてくると少しふらつきがちになります。
シッティングで同じペースで上る分には問題ありませんが休むダンシングを織り交ぜて上ると逆に疲れてしまいました。
地道にまっすぐ進む分には良いですが斜度のキツイ内回りカーブなどではふらつき易いのではないかと思います。

 

 

・下り

コーナーではバイクを思ったよりも倒さないと思ったラインに乗せられないと思います。

路面のつなぎ目やスリップ防止の凹凸に跳ね返される感覚がwh-6800と比べ大きいような気がしました。

 

・ブレーキ性能

付属品のシューを使っていますが下りでは早めのブレーキをしていないと危ないと感じました。
軽く当て効きさせるだけでは減速はしていないように感じるので気持ち強めにかけないと下りでは減速しないと思います。
しかし、荒川CRにて同じシューでBORA ONE50を試した際にはしっかりとブレーキングできていたのでシューとリムの相性が悪いのだと思います。

 

■いい所・悪いところ(まとめ)

私は比較的に横剛性が低いホイールだと感じました。なので、ダンシングを多用する人やバイクを振ることが多い人にはあまり好まれないのではないかと思います。
ホイールの安定感というかなんと言うか、BORAWh-6800で走っているときよりもタイトなリム(薄い)ホイールに乗っているという感覚です。

 

■買ってよかったか?

見た目や性能、使い勝手という点では買っても良かった。
しかし個人的には、ブレーキ面で気をつかうことで走りを十分に楽しめないと思うので走りを楽しむという点ではイマイチだと感じました。

 


他のメカニコホイールに乗って



ここまで見ると、完全なネガティブ記事なのですが、
実は他のモデルにも乗って、随分印象が異なるのに驚きました。
例えば38mmのチューブラーモデル。
流石に漕ぎ出しも軽く、横剛性の不足もそれほど感じられず。
巡航性能は高いとは言えないものの、決して悪くない性能だと思いました。
ブレーキも割りと効いていたのが驚きです。

50mmのチューブラーモデルもリア側の剛性感が好印象。
少しヨレる感じはあるものの許容範囲内という感じでした。
ただしこちらは同じく全くブレーキが効かず。

一つ考えられるのは、チューブラーリムの絶対的な軽さが効いている、ということ。
悲しい事に他のカーボンクリンチャーに長時間乗った経験が無いのですが、メカニコ同士であれば明らかにチューブラーリムの方が印象が良いのは確かです。

ただ、普通のホイールメーカーであればチューブラーモデルとクリンチャーモデルを比較して「これはクリンチャーリムが悪い」と推測してもよさそうなものなのですが、 中華カーボンとなるとそもそも同じモノなのかどうかから怪しくなってきます。
例えば中華カーボンのリムはえてしてFFWDやTNIと同じ形状のリムである事が指摘されたりしますが、人づてに聞いた話では「リムメーカー(OEM元)は型は用意しているが、使うカーボンやその貼り込み方は各ブランド(FFWDやTNIなど)によって独自の指定があるので中身は別物」だとか。
見た目は同じでも中身は別物、という事が普通な世界であるということです。
 
こうなってくるとますます訳が判らなくなってきます。
もしかしたらここでインプレしたホイールと同じものを買ったらとても優秀な個体が届くかもしれません(その逆かも)。
8万円で博打を打つのはちょっと気が引けますが。


とはいえ、この値段でしっかり日本で組まれたカーボンホイールを購入出来るというのは凄いことです。
2015 12/16 修正: 日本である程度検品されたカーボンホイール、と訂正します。

多少のリスクを覚悟した上で購入するのであれば十分良い買い物なのではないでしょうか。
個人的にはローハイトのチューブラーモデルが欲しいです。ヒルクライム大会などの上りだけ一発勝負で使ったらとても面白そうじゃないですか。飛ぶように登れそうです。
そういった限られた用途にわざわざハイペリオンを買っていたらお金がいくらあっても足りませんし。


※まあ、なんと言いましょうか。
8万円のカーボンホイールと8万円のアルミホイールを比べるのも変な話ですし、
25万円のカーボンホイールと比べるのはもっと変な話ですね。
本当はレイノルズあたりのカーボンクリンチャーと比べられればよかったのですが。
ただ、今のところは8万円のカーボンクリンチャーは同価格のアルミホイールには勝てるとは言いがたく、
またそれに乗ったからと言ってカーボンディープ全体に失望してしまってはあまりにももったいないかなと。
BORAの飛ぶ感覚やZIPPの空気を切り裂くようなフィールは、間違いなくプライスタグに見合ったものです。



その後、カーボンクリンチャーを買ってみました。
→それでもカーボンクリンチャーを買った理由