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Mavic126年目の作品。 

Ksyrium SLR 2015です。
Ksyriumってスペル難しいですよね(どうでもいいんですが)。今回の記事で打ち慣れました。

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Canyon買ったらおまけに付いて来たホイールです。
期待せずに乗ってみたら物凄く良かったのでじっくり記事にしてみたいなと。

とりあえずはなるべく客観的に、概観編です。




 キシリウムの歴史を振り返る


キシリウムシリーズにはとにかく色んなモデルがあります。
キシリウムSLRって何がSLで何がRなの?という話なんですが、キシリウムの進化を眺めるとちゃんと系譜が通ってるんですよね。
自分用のメモを兼ねてここに軽く纏めておきます。興味のない人は飛ばしてください。


Mavicといえば1889年創業の超老舗ですが、完組みホイールを世に広めた立役者でもあります。
Mavic初の完組みホイールは1994年のコスミックのようですが、有名なのは1996年のヘリウムでしょうか。

06-1997_MAVIC_HELIUM
引用:Cyclowired 

 
重量は1550gでした。 






07-1999_MAVIC_Ksyrium
引用:Cyclowired 

そして扁平アルミスポーク、リムに直接ネジを切るFOREテクノロジーなど完組として手組には出来ないことを推し進めたキシリウムが誕生したのが1999年のこと。
この段階ではまだリムへの切削はありませんが、デザインやハブの玉押しなどは現在にも受け継がれています。

marco-pantani-lance-armstrong-mont-ventoux-tour-de-france-2000
引用:snipview.com

2000年のツール・ド・フランスです。
ランスが駆るTrek Madoneが履いているホイールがキシリウム。
この時代にはプロの最前線で闘うホイールでした。







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引用:Mavic Australia

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引用:Mavic Techmanual 2002

そして2002年に発表されたのがリムに切削を入れたキシリウム SSC SLです。
最初に切削されたのはスポーク間でした。現在のものに比べればかなり控えめに見えますね。
切削跡に合わせてリム側にもシルバーを乗せるデザインは秀逸です。
色々と検索しても初代キシリウムSLのリム幅等に関する情報が見つからなかったのですが、当時のマニュアルを見ると切削を除くリムの基自体はキシリウムと共通だったようです。
フロントハブは現在とはまるで違う形状ですね。
 






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引用:forum.tour-magazine.de

2006sl
引用:Mavic Techmanual 2004

2003年にはツール・ド・フランス100周年を記念して特別仕様のモデルが販売されました。
シルバーのホイールにスポーク一本が黄色です。
この年からリム構造が判りました。前後共通でリムハイト25mm、リム外幅19mm。
まだオフセットリムではなかったのでしょうか。

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Ksyrium SL 2004

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Ksyrium SL Tour de France edition

2004 TechManualを眺めていてびっくりしたのですが、単なる色変えかと思っていたTdFエディションはリアハブの構造が違いました。
2004モデルの前ハブに変更があることは前のモデルと見比べれば一目瞭然ですが、後輪のフリー固定方法がTdFエディションのみ変更されています。この方式は現在(2015)の構造に非常に似ています。







MavicKsySL04
引用:bikyle.com

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引用:Mavic Techmanual 2006


2006年のキシリウムSLです。
この構造を見て判ることは、SL TdFエディションのリアハブではなく、ノーマルのSLモデルを引き継いでいるということですね。







  Mavic_Ksyrium_ES
引用:Cyclingnews

同じく2006年に登場したキシリウムES(Edition Spécial)。
ヘリウムの登場から10周年を記念して登場したモデルでした。
ちなみに当時の価格は11万円。

Mavic_Ksyrium_ES_front_hub
引用:Cyclingnews

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2006es

フロントハブ胴が太いカーボンになり、 シャフトにはチタン、フロントのリム高を22mmへ下げることで軽量化が行われます。 また、リアハブの形状が変わっています。
しかし、何故かフリーの固定方法は旧型ですね…?

大胆に赤をあしらった特徴的なカラーリングで当時大変魅力的だったのを覚えています。
この頃にはシマノのWH-7801-Carbonが出ている頃ですし(12万で!)、実戦路線から少しラグジュアリーな方向に移行したのかもしれません。
なお2007のSLはESと同じ仕様でした。Mavicの限定版は翌年にはレギュラーモデルに落ちるようです。


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引用:Cyclingnews

とはいえ一部のプロチームはこの時代でもキシリウムを使っていました。
これはチームランプレですが、右にはコスミックカーボンプロも見えますね。

ちなみにこのコスミックカーボンプロは当初一部のプロ選手のみに供給されていたフルカーボンモデルです。リムは恐らくコリマ製と言われているので、Mavicとしてはとりあえず有り合わせの製品だったのかもしれません。
というのも、アルミホイールであるキシリウムとカーボンフード+アルミのコスミックカーボンで大成功したMavicでしたが、BORAやWH-7801-C50、BontragerのRace Lite XXXなど、カーボンディープが主流になってしまった時代にMavicは対抗できるカーボンディープをなかなか製品の形に出来なかったようです。
Mavicのカーボンディープが最前線に追いつくのはコスミックカーボンアルチメイトまでおあずけでした。






ksyrium_sl
引用:starbike.com

2008sl
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引用:Mavic Techmanual 2008

2008年にはキシリウムSLにESの仕様とカラーリングが継承されます。
ところが中身は大違い。
リアは完全にオフセットリム化されていますし、ブレーキ面が1mm短縮、幅が外幅20mmに変更されています。

同年にキシリウムSL Premiumという限定モデルがありましたが、通常モデルとの違いはデザインと、クイックと後輪の金具がチタン製というだけのなんとも地味なものでした。






TIRE
引用:Cyclowired 

2010年に登場したのはキシリウムK10。
このモデルは2つの大きな進化を果たします。 
初めてリムのサイドが削られた"ISM 3D"と、タイヤをセットとしてパッケージングした"WTS"です。
なおリムの寸法などは変更ありません。





mavic-2012-ksyrium-sr-tubular-wheelset
引用:EvansCycles

2011年には更に大きな変更が成されます。 
それがキシリウムSR/SLRとエグザリットです。
…ようやくRの文字が出てきました。
この"R"ですが、 遡ること2007年に発売されたR-SYSの"R"となっています。



RSys_cyp-700-80
引用 

このホイール R-SYSはカーボンスポークを用いた"トラコンプテクノロジー"を用いた最初の製品でした。
このカーボンスポークは軽量な上に非常にパワー伝達能力が高く、特に後輪はヒルクライムを中心に大きな支持を受けていました。
しかし丸形状の太い形状のスポークは空気抵抗が非常に高く、風をモロに受ける前輪の空力性能がネックでした。

そこで前輪をキシリウム、後輪をR-SYSに、といういいとこ取りホイールがMavicから出ました。それがキシリウムSRです。
そしてそのキシリウムSRにMavicのプラズマ電解処理リムを導入したのがキシリウムSLRです。
 
ksyslr2011
引用:EvansCycles

2011slr

この年から"キシリウム前輪+R-SYS後輪+エグザリット"の全部のせホイールとしてキシリウムSLRがキシリウムシリーズの頂点に君臨します。
ちなみにこの年のキシリウムシリーズにはISM3Dのモデルは存在しません。
 





2013年にはこれまでのキシリウムSLにタイヤがセットとなりキシリウムSLSという名前になりました。
リムがISM3Dとなっています。横側も削られたわけですね。
また、エグザリットがブレーキシューと溝形状の変更を行いエグザリット2に進化。

そして、R-SYS側での変更に伴いこっそりキシリウムSLRのリアハブ構造が変更されました。
rsysrear

キシリウムSLRの2013モデルではフリー構造を、なんと10年前のTdFエディションと同じ仕様に変更しています。
後輪の軸先端が細くなり、それに従ってフリー側のベアリングが特殊なサイズのものに変更されています。
また、反フリー側のベアリングも汎用品ですが違うものに変更されています。
これにより後輪が微妙に軽くなっていますが、リムの切削は相変わらず横を削らないISM止まりです。








KSYRIUM_125-joint-squ2
引用:cyclowired

2014年はMavic125周年ということで、様々な商品展開がされました。
このキシリウム125はその最たるものです。
6000本限定でシリアルナンバーが付与されたこのホイールは一見キシリウムSLRのマイナーチェンジですが、その実はほぼ完全新設計です。
翌年(2015)にはこのページで紹介する予定のキシリウムSLR(2015)と名前を変えて販売されているので、スペック面はそちらをご覧いただくとしましょう。








2015年にはキシリウムSLEがラインナップに加わります。"E"はエグザリットのEでしょう。
このSLEですが、ISM3Dでエグザリット2、そしてリアも総アルミスポークです。
つまり、SLSのエグザリット版ですね。 
また前述の通りキシリウム125がキシリウムSLRと名前を変えてレギュラーラインナップに登場しました。

こうしてキシリウムの歴史を眺めてゆくと、その基本設計が殆ど変わりなく現在まで通用していることに驚きを隠せません。キシリウムESまで来ると殆ど現在のホイールと遜色無いように見えますし。
本当に凄いホイールだなぁ、と思います。

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キシリウムSLR(2015)について





…ようやく本題です。

■リム

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キシリウムSLRは元々「前輪キシリウム/後輪R-SYS」という組み合わせから誕生したホイールであることは先に述べました。
僕自身そういうものと思い込んでいたので今日まで気が付かなかったのですが、MavicのTechManualを読んでいて、このリムが完全にR-SYSのものと違うということに初めて気が付きました。

  slr2015pro
引用:tech-mavic.com

これがキシリウムSLRのリムプロファイルです。

rsysslr2015rear
これが同年のR-SYS SLRのリアです。
全ての寸法が違うことが判りますね。
つまり、現在のキシリウムSLRはR-SYSと一部部品を共用しているだけの別物ということが判ります。

SLRのプロファイルを眺めてみると、フロントの方が幅広に、ブレーキ面も大きく作られていますね。リムハイト自体はリアの方が高く作られているのが興味深いです。 

…?
Cyclowiredなどのメディアでは幅がフロント20mm/リア19mm、リムハイトがフロント25mm/リア26mmと記されていますが…この図をみるとそんなに無いですよね?
計測方法が違うのでしょうか…?
自分のSLRの後輪を巻き尺で測ってみると、スポーク部分の一番盛り上がっている部分でも24mmちょっとでした。


また、これまでのキシリウムの歴史を見ていると特別ワイドリム化されたという気もしませんし、リムハイトも原点回帰しただけということも出来ますね。
 
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リム自体は ISM3Dから進化して、全体を削るISM4Dとなっています。
滑らかなリム形状から空気抵抗が少ないと主張されていますが、見た目はともかく空気抵抗面を実感する事は難しいでしょうね。 

また、洗濯板のような縦の溝が刻まれたエグザリット2は最高のブレーキ性能を提供してくれます。

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ちなみにこのエグザリット加工、ハゲます。
といってもどんどん剥がれていくわけではないのですが、何か大きなキズが入る様な衝撃なら加工された部分が削がれてしまうようです。
1000km以上走ってこの一箇所以外に傷は見えないので、おそらく飛び石かなにかでガッツリ傷が入ってしまった結果だと思われますが、もう少し深いところまで黒くなっているものだと思っていたので驚きました。


■ハブ

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フロントハブはお馴染みのキシリウムハブです。
使われているスポークは全てジクラルスポークですね。

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リアはR-SYSのハブを流用?しています。
通常のキシリウムSLと違い、反フリー側がラジアル組になっています。
これは恐らくカーボンスポークを編む(交差させる)ことが出来ないからでしょう。
フリー側は前輪と同じジクラルスポークです。

 
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前述しましたが、後輪はR-SYSなのでフリー側に特殊なベアリングが採用されています。
Mavicのホイールでは標準の接触式シールドベアリングを市販の非接触式に交換するカスタムが定番化していますが、この後輪のベアリングだけはMavic公式のものかセラミックスピードのカスタム品を購入するしかありませんので注意が必要です。
ちなみに前輪のベアリングは6901タイプ、後輪の反フリー側もキシリウムと違い6901となっています。


しかしそもそもMavicのハブの回転がとりたてて悪いとは僕は思いませんでした。
グリス少なめのカンパよりは回りませんが、グリス多めのカンパよりは回ります。
そして接触式シールドベアリングはグリス多めのカップアンドコーンハブ以上に耐久性(異物侵入阻止)が高いので、メンテ頻度を相当高くしない限りはシールドベアリングの方に優位があるような気がします。
とはいえベアリングは耐候性だけではなくアンギュラコンタクトがどうこう、斜めへの荷重がどうこう…などといった深い話が延々とあるので「シールドベアリングの方が性能が高い!」とは僕の知識では言えませんが。。


また、キシリウムシリーズのフリーボディは1000km程度の頻度で専用オイルでのメンテナンスが必要です。
デュラグリスなどで代用するとフリーの爪が起きなくなって延々と後輪が空転することになるので、ホイール購入の際には一緒にオイルも買っておくことをオススメします。


メンテナンス自体はレンチとアーレンキーでフリーボディをすっぽ抜くだけなので、本当に誰にでも出来ますよ。





インプレは別記事にまとめたいと思います。





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